起業家を家族に持つ方による「起業家を支える家族として」という、女性目線で行われたセッションについてレポートします。
起業するまでの経緯や起業してからのことを間近で見ていたスピーカーのお話には、起業家の素質、そして起業家になるためのヒントも隠れていましたよ。
福岡市では今、行政のバックアップのもとでスタートアップをしたい人向けの交流の場「スタートアップカフェ」がオープンするなど、スタートアップブームで起業家が増えています。
起業家ご本人が様々なメディアにて注目されることはよくありますが、今回のセッションではご家族にフォーカスし、スピーカーとして迎えられたお二人の経験談から、起業家を家族という立場でどのように支えたらいいのかを学べるものでした。
スピーカーは、ご主人とともに「人力検索はてな」「はてなブックマーク」などのWebサービスを提供する株式会社はてなの設立に関わられた(現在は退職されている)近藤令子さんと、ご主人はレンタカーサービスを展開する株式会社リーボの代表で、ご自身は公務員として働かれている松尾綾さんのお二人。
モデレーター(進行役)の株式会社グルーヴノーツ ショウジユウコさんの軽快なトークのおかげもあり、冒頭から終始笑い溢れるなかで和気あいあいとセッションが行われ、私もお話を聞きながら楽しいひと時を過ごすことができました。
「起業すると聞いた時の正直な気持ち」や「起業家の家族として気をつけていること」、「起業家の家族あるある」、「“家族”とは?」という様々な質問に対して、近藤さんと松尾さんがそれぞれ答えていく形式でお話が進みましたが、お二人に共通していたのは積極的に応援しているというスタンス。
起業家と一般サラリーマンとの決定的な違いとして、人生をかけて頑張ってもらわないと1円もお金が生まれない、というような前提があるからかもしれません。
人には「向き不向き」があるのでそれぞれが得意なことをする、という考えを持って自然に役割分担を行い、ご主人は常に仕事優先というような起業家にありがちな生活スタイルについても受け入れ、家庭でのイベントを優先させることを諦めている、といったお話もありました。
一見すると華やかなイメージのある起業家とそのご家族ですが、色んな物事を犠牲にしたり経済的に不安定な側面もあるという赤裸々なエピソードに、会場ではあちらこちらで声に出るような深い相槌が何度も聞こえました。
お二人から、起業家を今現在支えている人やこれから支えていく人へのアドバイスとして、「IT系スタートアップはこれまでにない発想が必要なので、子供っぽい人が多い気がします。それを受け止める包容力や経済面でのサポート、ユーザーに近い立場から自分自身の視点を伝えることが大事だと思います」(近藤さん)
「起業家だからと気負わず、仕事をしている人を応援するという点ではサラリーマンの家庭と特に変わらないのではないでしょうか」(松尾さん)
と答えていたことに、参加者が皆一際大きく頷いている様子がとても印象的でした。
女性目線が中心のセッションでしたが、質疑応答の時間では奥様に限らない「家族」としての支え方について質問がありました。そこではご主人のご両親を例に挙げ、幼少の時からやりたいことをやらせていたとか子供の可能性を信じていたというような、女性目線との共通点もありました。
起業家の素質が芽生えるのに、子供の頃からの周りの接し方も大きな影響があるのかもしれませんね。
会場が最も盛り上がったのは、モデレーターの庄司さんがご自身の周りの起業家に聞いた「家族からどのように支えて欲しいか」というアンケートの結果を紹介した場面です。
どれも、理解して欲しい、味方でいて欲しいという起業家の方々の切実な気持ちがひしひしと伝わってきて、ちょっとクスクス笑ってしまいました。
起業家を家族に持つ方、あるいは起業家の家族になる予定の方や子供を起業家に育てたいと思っている方は、是非参考になさってください。